








菓子工房のライブ感を街に発信していく空間
自然豊かで穏やかな時間が流れる街、大阪・箕面。その環境からファミリー層を中心に人気を得ており、大正〜昭和初期には別荘・高級住宅地として文化人や実業家が住んでいたとも言われる。
この店舗では、フィナンシェ専門店の「ちひろ菓子店」の魅力の一つである“焼き立て”を存分に感じられる、ライブ感溢れるオープンキッチンを携えたダイナミックな空間づくりを目指した。スケルトン天井、モルタル・古木で構成したシンプルな空間に、カウンターと、売場から厨房へと連続する天井には、赤色の錆止め塗装を施したパンチングメタルを貼り込むことで、商品とキッチンへの視線誘導とともに空間の広がりを感じさせる。
ファクトリーを彷彿とさせる空間には甘く香ばしい香りが漂い、客席にはちひろ菓子店らしいフラワーアートで彩ることで五感を魅了する。都市的でありながら自然の美しさを兼ね備える箕面の街の魅力を表現したこの空間が、この街の一部として根付きながらも、新たな魅力となる場となることを願う。(長谷川裕也/FiG)
「ちひろ菓子店 FINANCIER FACTORY」
所在地:大阪府箕面市西小路2-8-17
オープン:2025年8月29日
設計:FiG 長谷川裕也
床面積:145.0㎡
客席数:14席
Photo:Wataru Kitamura(OSER / lien)
【内外装仕様データ】
床:モルタル金鏝仕上げ
壁:PB下地クロス貼り AEP塗装 一部躯体壁現し
天井:一部スケルトン 意匠天井形成
その他:カウンター/天板・ビニルレザー貼り 腰面・クリアミラー+パンチングメタル錆止め塗装 フラワーアート(bulbus 谷井 聖)

長谷川裕也/FiG
1994年、大阪府生まれ。京都造形芸術大学環境デザイン学科を卒業後、2015年より株式会社グラマラスに6年間在籍、2021年にFiG(フィグ)設立。インテリア・家具・プロダクトと多岐に渡るデザイン、ディレクションを手掛ける。表層だけに囚われない、本質的なデザインから導き出される遊び心とオリジナリティ、そこから生まれる豊かさをコンセプトとしている。







