











2つの建築空間を融合し土地の文化を取り込んだ複合滞在施設へ昇華
横浜中華街の中心に建つ、築36年の老舗中華料理店(RC造)と事務所兼倉庫(S造)。性質の異なる2棟を統合し、ホテルへとコンバージョンしたプロジェクト。企画コンセプトである「REVIVE」のもと、既存の躯体や素材、場所の記憶を活かし、新たな滞在空間を構想した。
本館(RC造)は、33室の客室とラウンジ、地下にミストサウナを備え、別館(S造)は1棟貸しの客室とした。外観は、装飾的な街並みに対しあえてシンプルかつシックに整え、静かな存在感を放つ佇まいとした。南門シルクロード側では既存垂れ壁を20cm解体し、開口トップラインを引き上げることで視覚的な開放感と法適合を両立している。ラウンジでは螺旋階段を撤去し上階を客室化。新設床には竹を型枠としたコンクリート打放しを採用し、生の竹材も用いることで、中華の伝統素材を構法と素材の両面から現代の構成へと読み替えた。地下のミストサウナでは地層や鉱石を想起させる空間とし、解体時のコンクリート瓦礫を再利用している。客室ではバルコニーやダムウェーターシャフトを居室化し事業性を確保するとともに、既存の装飾や建具を再利用することで固有のインテリアを実現した。
時間の蓄積された素材と場所のコンテキストを紐解き、現代の感性と交差させること。私たちが目指したのは、この場所に積み重なった時間を引き受け、その価値を次の場へと編み直す「再生」である。それは建築の更新にとどまらず、このホテルが街の営みに新たな動きを生み出す契機となることを意図している。(大平貴臣/OSKA&PARTNERS)
「トランセンダーホテル横浜」
所在地:神奈川県横浜市中区山下町81-3
オープン:2025年11月14日
設計:OSKA&PARTNERS 大平貴臣 志村遥稀 不二俊太郎
床面積:2530.25㎡
客室数:34室
Photo:長谷川健太(本館) トランセンダーホテル(別館)
【内外装仕様データ】
〈外装〉
外壁:シリコン塗装 樹脂モルタルの上クリア塗装 タイル貼り(名古屋モザイク工業) 床/WPCデッキ(IOC) タイル貼り(名古屋モザイク工業)
〈ラウンジ〉
床:樹脂モルタルの上防塵クリア塗装
壁:竹25φの上ウレタン塗装 樹脂モルタルの上クリア塗装 タイル貼り(名古屋モザイク工業) AEP塗装
天井:竹形枠コンクリート打ち放し 竹貼り40φの上ウレタン塗装 AEP塗装
家具・什器:オーク突板OSCL、人工大理石(ハイマックス)
〈客室(本館)〉
床:タイルカーペット貼り(川島織物セルコン)
壁:ビニルクロス(サンゲツ) 不燃突板ボードOSCL タイル貼り(平田タイル)
天井:ビニルクロス貼り(サンゲツ) 不燃突板ボードOSCL
家具・什器:オーク突板OSCL ラタン 人工大理石(ハイマックス)
その他:既存店舗装飾、建具転用
〈地階
TOJI SAUNA〉
床:休憩ラウンジ/タイル貼り(リビエラ) ミストルーム/玉石
壁:休憩ラウンジ/左官材仕上げ(ジョリパット/アイカ工業) ミストルーム/タイル貼り(リビエラ)
天井:左官材仕上げ(ジョリパット/アイカ工業) ミストルーム/バスパネル(フクビ化学工業)
〈客室(別館)〉
3階寝室
床:フローリング(ティンバークルー)
壁:ビニルクロス(サンゲツ) 不燃突板OSCL
天井:ビニルクロス(サンゲツ)
2階リビング
床:フローリング(ティンバークルー)
壁:ビニルクロス(サンゲツ) 不燃突板OSCL
天井:ビニルクロス(サンゲツ)
その他:既存店舗装飾転用
1階水回り(洗面、トイレ、浴室、サウナ)
床:タイル(リビエラ)
壁:ビニルクロス(サンゲツ) タイル(平田タイル) 檜材(サウナ)
天井:AEP バスパネル 檜材(サウナ)

大平貴臣/OSKA&PARTNERS
OSKA&PARTNERS代表。1980年東京都生まれ。2004年日本大学大学院理工学研究科建築学博士課程前期修了。2007年大平貴臣建築設計事務所設立。2014年(株)OSKA&PARTNERS代表取締役。2018-2022年日本大学理工学部建築学科非常勤講師。主な仕事に「TRAN.SCENDER® HÔTEL」、シェアオフィス「BLOCKSシリーズ」「FMFクリニック東京ベイ幕張」他多数。







