+81 Bar

日本のサブカルチャーとバブル期の華やかさを現代の視点で表現

 

フィリピン・マニラのマカティ地区にある老朽化した商業施設内に計画されたラウンジバー&クラブ。平日は落ち着いたバーとして、週末はDJイベントを開催するクラブとして機能する、二面性を持つ空間である。エントランスは、工事中の仮囲いを思わせる新聞紙仕上げのファサードと、日本のサブカルチャーを象徴するフィギュアショップによって構成。センサーで開く隠し扉の先には、プロジェクションマッピングによるデジタル鯉が泳ぐトンネルが広がり、非日常的な体験へと来訪者を誘う。内部は、バーカウンター、スタンディングエリア、ソファラウンジ、テラス席、VIP ルームで構成される。漫画をテーマとした通路や、トイレを反転させたようなユーモラスな VIP 前室など、日本独自の遊び心を随所に取り入れている。デザインコンセプトは、日本の1980年代バブル期。亜鉛メッキ鋼板、エッチングミラー、ミラーボールといったノスタルジックな素材に、RGB制御の間接照明やプロジェクションマッピングなどの現代技術を融合させた。天井グリッドは音楽と連動して色彩とリズムを変化させ、床面に配された漢字グラフィックは空間全体に独自のアイデンティティを与えている。低い天井高と限られた面積という制約条件の中で、照明演出や透過性のあるファサードによって開放感を創出。日本のサブカルチャーとバブル期の華やかさを現代的に再解釈した、光と音、記憶が交錯する没入型エンターテインメント空間である。(轟 貴弘/engine

 

 

「+81 Bar」
所在地:Makati Square, G-1 Fernando, Makati City, Metro Manila
オープン:2025年6月14日
設計:engine 轟 貴弘
床面積:221.18 ㎡
客席数:約62席(スタンドエリアを除く)
Photo:平林克己

 

【内外装仕様データ】
〈エントランス〉
床:モルタル下地エポキシコーティング仕上げ
壁:PB下地新聞紙グラフィックシート貼り テラゾー調左官仕上げ(ダークグレー、グレー) ダークミラーエッチング LEDディスプレイパネル フラットペイント
〈メインホール・バーカウンター〉
壁:PB下地ラーチ合板着色塗装(ブラック) アンティーク調レンガタイル貼り ステンレスリップパネル 塗装仕上げ(ブラック) ミラー貼り フラットペイント セラミックタイル貼り(グレーマーブル調)
バーカウンター:木工下地リベット加工ティンパネル貼り
〈VIP ルーム〉
床:カーペット敷き(レッドダマスク柄)
壁:PB下地モールディング塗装(ブルー) ダークミラーエッチング ディスプレイニッチ(オレンジ塗装)
家具:ソファ/木工下地フェイクレザー張り(ブラック) テーブル/木工下地(ガラス天板+真鍮脚)
〈通路〉
床:床下地セラミックタイル貼り(ホワイトマーブル調)
壁:PB下地漫画プリント壁画 アンティークレンガタイル貼り ダークミラーエッチング フラットペイント
〈トイレ〉
壁:PB下地セラミックタイル貼り(ミントグリーン) ウォーターリップタイル貼り(レッド) サブウェイタイル貼り(ブラック) ステンレスパネル
天井:PB下地フラットペイント
洗面カウンター:木工下地塗装仕上げ(ブラック)

 

轟 貴弘/engine
中央大学法学部法律学科を卒業後、北米大陸にてプロのブルースミュージシャンを目指し、オーディションに明け暮れ、シカゴ・ニューオリンズなどでBusking Musicianとして生計を立てる。道中、テキサスにある国立公園にてレンジャーのアルバイトをしていた際に、同僚に連れられたアリゾナ砂漠で遭遇した洞窟BARに感銘を受け、空間デザインの世界に生きることを決める。2000年に独立し、E/g SPACE LABOとして活動を始め、2004年に法人化とともに社名を engine, inc に変更。商業施設を中心に、飲食店・クリニック・住宅・サロン・物販店など多岐業種に渡り幅広く活動する。

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