




ブランドらしさを感じる象徴的な要素をちりばめた空間
百貨店において、特に地下階のデザインの場合、混雑する売り場環境の中で遠くから見て菓子屋とわかる「遠視認性」と、近くで見て美味しそうと感じる「近視認性」の共存が求められます。さらに、「伊藤軒 高島屋京都店」では、物販店の買い物の速度と茶寮の飲食の速度を許容する環境、そして、施設動線により二分化された茶房のデザイン的な統合等様々な要件をクリアしなければなりませんでした。また、「左回りの法則」による動線によってより意識しやすい物販コーナーを計画。(左回りの法則とは、右脳は視界の左側に見えるもの、左脳は右側に見えるものを主に担当して処理していて、右脳は左脳よりも感覚的に空間を把握することが得意なことをもとにした法則。左回りによって、左側の空間にあるものに注意を向けながら感覚的に空間を把握して進めることが自然で、右利きの人は左手でカゴを持ち、右手で商品をとることが多いため、左回りの配置の方が商品を取りやすく、一般的に好まれやすいと言われています)。また、物販から茶寮へ緩やかにお客様の目線の高さを変えるポジション、照明の演出によるスピード感のある物販とゆったりと楽しむ飲食(パフェ)の時間軸の融合を、ブランドのアイデンティティーを表現する自然素材と伝統の技術を使いながら緩やかに統合しました。例えば、主力商品のアップルパイを連想させる「林檎の木のカウンター」、「版木からつくった林檎柄の京唐紙の光壁」、「昭和の懐かしさ 三和土風の人工大理石の研ぎ出し」等は、その象徴となっています。(辻村久信デザイン事務所+ムーンバランス)
「菓寮伊藤軒 高島屋京都店」
所在地:京都府京都市下京区四条通河原町西入真町52 高島屋京都 地階
オープン:2025年4月11日
設計:辻村久信デザイン事務所+ムーンバランス 辻村久信 大貫善哉 吉田沙穂
床面積:44.7㎡
客席数:カウンター4席、テーブル4席
Photo:繁田論写真事務所 繁田 論
【内外装仕様データ】
床:モルタル下地テラゾータイルt20×300角貼り(TR015-2/ソリュート)
壁・天井:LGS組みPBt12.5下地左官材仕上げ(ジョリパット JP100 T1405 エンシェントブリックS/アイカ工業) 一部鋼製材軸組み、強化ガラスt10下地特注柄不燃和紙(W600×H325mm)ちどり張り(丸二)
什器:木工下地左官塗り(床テラゾータイル仕様合わせ) カウンター/天板・りんご無垢板パッチワーク張りの上CL(FUTURA家具工作所) ベンチ/特注製作椅子生地張り

辻村久信/辻村久信デザイン事務所+ムーンバランス
2006年株式会社ムーンバランス設立。2005年~奈良女子大学特任教授。2008年~2023年京都芸術大学教授。プロダクトから建築まで境界を超えて、日本の伝統の軸線上にあるモダンデザインを創造する。代表作に雪月花、Ricordi、chano-ma、SOU・SOU、WA-Qu exhibition、宙・渡月荘金龍、銀座あけぼの、木曽路、STRASBURGO、土屋鞄製造所、MALEBRANCHE、亀屋良長、根元 八幡屋礒五郎、ごはんや一芯、ネクステージ、保壽寺、湖南荘、RIN。







