






曲線が都市の景観を切り取り日常空間に特別なシーンを演出
都市環境には、建築や広告、看板など多くの視覚情報が溢れており、風景は常に強い刺激にさらされている。本計画は、開口部が都市の中の一本の樹木を意図的に切り取るという条件に着目し、その環境を積極的に読み替えることで、「見る」という行為そのものを再構築することを目指した。
道路に面した大開口は、街路樹を一枚の風景画のようにフレーミングする。一方で利用者は、それを直接眺めるのではなく、連続する曲面壁によって形成された洞窟的な内部空間の奥から覗き込む。この構成によって、日常の都市風景は「洞窟の奥から見る外界」として再解釈され、見慣れた景色に新たな知覚が生まれる。
内部空間では、既存の直線的なRC打ち放しの躯体に対し、砂を混ぜた塗装仕上げによるワントーンの曲面を挿入した。これにより、構造と知覚のレイヤーを分離し、空間認識をずらすことを試みている。曲面は光や影、視線をやわらかく拡散し、空間の輪郭を曖昧にすることで、利用者の身体感覚を外部環境から切り離し、都市的時間から一時的に離脱できる感覚的なシェルターをつくり出す。
外部に対しては大きく開きながら、内部では包み込むように閉じる。その二重の空間構成によって、都市と自然、公共と私的、活動と内省といった対比的な状態を一つの空間の中に共存させている。美容室という日常的な場を通して、利用者の感覚を静かにリセットし、都市の中であらためて「見ること」「感じること」を意識させる空間体験を提案した。(エイトデザイン + 武田慎太良デザイン事務所)
「WILLLUMINOUS」
所在地:東京都杉並区阿佐谷北1-31-4 コレタス阿佐ヶ谷 3階
オープン:2025年8月
設計:エイトデザイン + 武田慎太良デザイン事務所
床面積:80.51㎡
施術台数:6台
Photo:森田真悠
【内外装仕様データ】
床:塩ビタイル貼り(ダイナミックストーン/東リ)
壁:PBt12.5下地珪砂入りEP塗装 RC躯体現し
天井:PBt9.5下地珪砂入りEP塗装 RC躯体現し
家具・什器:木下地特殊左官仕上げ(モールテックス/ビール・インターナショナル)
その他:照明(大光電機、トキコーポレーション)

武田慎太良/武田慎太良デザイン事務所
1984年、愛知県生まれ。名城大学建築学科卒業後、佐藤宏尚建築デザイン事務所勤務、工務店勤務を経て、2019年に武田慎太良デザイン事務所設立。2022年 商空間に特化したデザインチーム「MYST」を立ち上げる。2024年、名古屋造形大学 非常勤講師。







