叙々苑 新宿小田急ハルク店

1976年創業の焼肉店「叙々苑」。この度、複合商業施設・新宿西口ハルクに同店最大規模となる約820㎡の旗艦店を計画した。店名は、外国人が肉を焼く時の音を「ジョージョー」と発音することに由来。焼肉において、肉が焼ける美味しそうな音は空間に欠かせない。これらの“音”から着想を得て、肉が焼ける音と空間が協奏し、焼肉を美味しくいただける場を目指したいと考えた。そこでまず、叙々苑で肉を焼く音を、周波数の図として可視化を試み、それらを空間各所の設えの要素として作家と共創。西陣織やアクリル、石、ガラスなどその場に相応しい素材で、特性を生かしここでしか成し得ない食事の場を引き立てる設えとして昇華させた。細尾真孝氏による西陣織は、創造性と京の伝統的な工法により、炎や自然の風景をも想起させ、豊かな表情となって、着想を超えるアートピースとして仕上がった。ホール席を囲む仕切りは、窓側への透過性を考慮しアクリルを選定。それらを削り出し、音色を奏でるような連続する彫刻を施した。また、ピアノブースを設け、演奏の音の広がりを視覚的に訴求する象徴的な造形を試みた。さらに店内BGMもオリジナルの音響を制作することで空間の協奏を高めた。最終的なアウトプットはそれぞれ全く異なるが、根底にある考えが共通していることで全体として調和を生み出している。お店の歴史から着想を得て、食と空間と音の関係性を強めた今回の計画。お客さまの五感に共鳴し、食の幸福感をより感じていただける場になれば嬉しく思う。(松浦竜太郎/乃村工藝社 RENS

 

「叙々苑 新宿小田急ハルク店」
所在地:東京都新宿区西新宿1-5-1 新宿西口ハルク8階
オープン:2019年11月28日
設計:乃村工藝社 RENS 松浦竜太郎 倉知優歌 石澤拓郎
協力:西陣織アート/細尾 細尾真孝
BGM制作/Soundscape Architect 近藤 忠
アクリル彫刻/アートストック 山本 剛
サイン計画/SIGNSPLAN 川西純市
グラフィック/noppo 初田隆正
照明計画/大光電機 村西貴洋 浅見篤志 北野真哉
施工:乃村工藝社
床面積:828㎡
客席数:220席
Photo:ナカサ&パートナーズ

【内装仕様データ】
床:ホール/磁器質タイル貼り 通路/ウォールナット材フローリング貼り 座敷/畳塩ビタイル貼り
壁:ホール/ウォールナット材染色耐力面材練り付け(ダイライト/大建工業)+ブロンズミラー貼り 幅木・黒御影石本磨き 間仕切・特注彫刻アクリル(アートストック) 通路/磁器質タイル貼り 座敷/木調クロス貼り(東リ)+木地染色リブ材
天井:ホール/PB下地AEP+折り上げ部SUS鏡面仕上げ 通路/ウォールナット材不燃突き板貼り 座敷/クロス貼り
家具:座敷/天板・特注金糸装飾UV塗装
その他:アート/特注西陣織(細尾)

Share