sagair

九州佐賀国際空港ターミナルビルのリニューアルに伴いオープンした、スーベニアショップ「sagair(サガエアー)」。ショップには、菓子や日本酒、陶磁器、伝統工芸品等の佐賀ならではの商品をはじめ、旅に関する道具やオリジナルグッズなど多種多様なアイテムが並ぶ。このショップは旅行客はもちろん、空港や空港近隣にある公園を利用する地元住民など、様々な人々が一つの空間に集い、空港自体が一つの目的地となることを目指している。そのため計画では、空間がこれら多様なアイテムの受け皿になると共に、空港がもともと持つ高揚感や非日常の延長にあるような場所が求められた。
私たちはまず空間全体を本棚のような密度感のある什器で構成することを考えた。人は本棚がずらりと並ぶ図書館のような空間に身を置く時、目当ての本にたどり着くまで、それを発見し選び取ることの楽しさを感じることができる。この体験にインスピレーションを得て、壁面や各什器をすべてグリッド状の棚で計画し、ショップの特徴である彩り豊かな商品群を、そのまま空間の特徴として落とし込むことを考えた。さらにメインの什器は、店舗入り口では高さを持たせながらも、空間の奥に行くほど徐々に低くなるような段々形状となっている。これによりショップの顔としては圧倒的な商品ボリュームを見せながらも、奥へと進むにつれて開放感を感じられるようにした。そして同時に、空間の内側に開放感をもたせることで、可能な限り内側から死角をつくらないことを意識した。内部には、レジカウンターと一体となった日本酒などの試飲スペースを設置。冷蔵ケースも含め全ての什器を淡いグリーンで統一し、食品から物品まで幅広いアイテムの背景として馴染むこと、さらに周囲を一面麦畑に囲まれた緑豊かな九州佐賀国際空港らしい、シンボリックなカラーとなることを目指した。(二俣公一/ケース・リアル

 

「sagair」
所在地:佐賀県佐賀市川副町大字犬井道9476-187 九州佐賀国際空港旅客ターミナルビル2階
オープン:2021年4月
設計:ケース・リアル 二俣公一 下平康一 久保山実暉
什器製作:諸富家具振興協同組合
照明計画:モデュレックス
グラフィックデザイン:UMA / design farm
全体監修:method inc.
施工:牟田建設
床面積:99.83㎡
Photo:水崎浩志

【内外装仕様データ】
床:タイルカーペット貼り(ビル共通仕様) カウンター内側・長尺シート貼り
壁:不燃合板オーク板目突き板貼り目はじきウレタン塗装3分艶あり
什器:オーク板目練り付け合板目はじきウレタン塗装3分艶あり
天井:白塗装仕上げ
ファサード:ネオンサイン


二俣公一/ケース・リアル
空間・プロダクトデザイナー。1975年鹿児島生まれ。福岡と東京を拠点に空間設計を軸とするケース・リアル(CASE-REAL)とプロダクトデザインに特化する二俣スタジオ(KOICHI FUTATSUMATA STUDIO)の両主宰。国内外でインテリア・建築から家具・プロダクトに至るまで多岐に渡るデザインを手がける。近作にDDD HOTEL、イソップ新宿店、Chalet W、キウルベンチ(Artek)など。作品の一部はサンフランシスコ近代美術館の永久所蔵品に選出されているほか、その他受賞多数。2021年より神戸芸術工科大学客員教授。

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