椎木デンタルクリニック

『庭の辻』
歯科医院という空間に対して建築ができることを再考した。無機質で退屈になりがちな待ち合い。不安と緊張に襲われる診察室の空間に外(庭)を添えることで歯科医院の空間を豊かにできると考えた。内(部屋)と外(庭)、2つの空間を相互依存的に平面、断面を整理してゆくことで建築の姿が導かれた。平面はコートハウス形式を発展させ内(部屋)の矩形の中に外(庭)の交差路を挿入することで、コンパクトながら内と外の緊密な関係性を生み出す。断面は敷地の持つ環境的特性から整理されている。床レベルは敷地東を流れる厚東川の氾濫への対応及び道路歩行者とゲストの視線のレベル差を生み出すために、GLより1m持ち上げられる(これは設備配管の更新性にも寄与している)。屋根は内勾配の切妻屋根とした。屋根の勾配に従い、雨水は庭に供給され、室内の空気は外部に排出される。外壁と屋根の間のスリットからは自然光を取り込んでいる。浮遊する建築に囲まれた庭は適度な日陰と通風により庭に佇む草木たちにとっても快適な環境となっている。(松田裕介/松田設計事務所

 

「椎木デンタルクリニック」
所在地:山口県宇部市妻崎開作839の1
オープン:2021年5月8日
設計:SEPO DESIGN 佐々木康二 石倉法隆 森 万佑子
松田設計事務所 松田裕介
造園:荻野景観設計 荻野彰大
施工:秋山建設 吉津昌則
床面積:199.36㎡
診察室数:診察ブース3室 カウンセリングルーム1室
Photo:楠瀬友将

【内外装仕様データ】
床:フロアタイル貼り(サンゲツ)
壁:PBt12.5下地クロス貼り(サンゲツ)
天井:PBt12.5下地クロス(サンゲツ)

SEPO DESIGN
広島を拠点に、飲食店・商業施設、住宅、美容院・エステサロン、クリニックなどの設計、グラフィックデザインの他、家具・什器販売、不動産、飲食業開発など幅広く手掛ける。

松田裕介/松田設計事務所
1985年、福岡県久留米市生まれ。2008年、琉球大学工学部環境建設工学科建築コース 卒業。2008年、三分一博志建築設計事務所 入所。2017年、松田設計事務所 設立。

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