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SATELLITEフェア!vol.1「大川の家具・建具」展レポート

会場にはデザイナーや建築家、メーカーなど空間づくりに携わるプロたちが訪れた

空間デザイナーのためのコミュニケーションスペース「BAMBOO SATELLITE(サテリテ)」(東京・赤坂)において、2022年3月17日、SATELLITEフェア!vol.1「大川の家具・建具」展が開催された。SATELLITEフェアは、空間デザインに関わる様々な製品やサービスが、テーマに沿って集まる1日だけのミニ展示会。今回は、日本有数の家具の産地である福岡県大川市に焦点を当て、同地の家具・建材メーカー4社が集まり、それぞれの技術力を感じさせる展示が行われた。その様子を、出展者の声と共にレポートする。

高度なNC加工技術や、様々な仕上げ、素材を組み合わせながら制作されるELEGANT WOODの内装パネル

商業空間を中心に、独創的な内装パネルの制作などを手掛ける「ELEGANT WOOD(エレガントウッド)」。高度なNC加工技術を活かし、デザイナーが思い描く様々な意匠を表現することに長け、レストランやホテルといった空間に特注の製品を数多く導入している。
代表の石井馨一さんは、「凹凸のある複雑な形状に加え、表面のカラーや質感も多彩な表現が可能です。特に天然木の突き板による表現には、弊社が長年かけて磨いてきた技術と知見があります。また、突き板にどのような表現方法や特徴があるか、深く知らない方も多いため、そこへ向けて突き板の魅力や適切な取り入れ方を発信していくのも私たちの役割だと考えています」と話す。展示会場では、アートピースのようなものから、店舗全体の雰囲気をつくり上げる大規模な仕上げまで、デザイナーの難しいリクエストにも応えることができる技術力を示す多様なパネルが紹介されていた。

高田製材所が国内外から集めた樹種250種類を一覽できる木材の見本「森の文庫本」

大川市内に複数の木材加工工場や倉庫を持ち、多種多様な樹種と豊富な在庫を揃える「高田製材所」。同社では、主要な木から入手困難なものまで250種類を集めた木材見本「森の文庫本」を用意。手のひらサイズにカットされた様々な木の板と共に、経験豊富な木材の目利きが、用途や要望に合った樹種へと導いてくれる。代表の高田豊彦さんは、「巨木も加工できる機械や技術があるため、国内外から加工前の状態で木を仕入れ、大判で提供できる体制が整っています。最近では、アフリカを中心に個性的な表情を持つ樹種が人気を集める一方、寿司店や和食店のカウンターで大きなヒノキを贅沢に導入する事例が改めて増えています。木は、空間に寄り添いながらも、店の顔となる存在感を持つ素材です。空間の価値を高める木にぜひ出会っていただきたいです」と話してくれた。

木製の建具や造作家具を手掛ける前田建具製作所では、デザイナーと協働し、職人の技術を活かしたアートワークを様々な商業空間に提供している

木製の建具や造作家具の製作を、半世紀以上にわたって手掛けてきた「前田建具製作所」では、その高度な手仕事が光る立体の組子作品を展示。代表の前田英治さんは、デザイナーの要望に対する技術的な提案力が強みの一つだと語る。「長年に渡り様々な空間に向けた建具を製作し、そこで磨いてきた技術を更に発展させるべく、より意匠的な表現に取り組んでいます。近年はトップデザイナーとのコラボレーションにより、繊細な技術で生み出された組子を始めとする表現を、商業空間の象徴的な意匠として導入いただく事例が増えています。職人の高い技術を、新しい表現に昇華してくれるのはデザイナーのアイデアであると感じます。また、デザイナーがイメージしているもの、スケッチなどを受けて、具体的な構造や作り方を含めて提案できるのは、木工に関する技術と知識を持った私たちの腕の見せどころです。『こんなのできるかな』という思いをぜひぶつけていただき、一緒になって新しいものを作り上げていきたいですね」

高い家具の製作技術を活かしながら、今のライフスタイルに合わせてデザインされた、ワークデスクとダイニングテーブルを兼ねる「WAAKtable」

木製家具を中心に開発・製作を手掛ける「WAAK(ワアク)」は、現代的な視点と、熟練の職人の技術を活かした新しい家具「WAAKtable」を展示。同製品は、同社がオフィスに向けたワークデスクを開発する中で培ってきたノウハウをもとに、最近の在宅ワークのニーズに特化した、仕事と家庭でのひとときの両方で使いやすい家具を形にしたものだ。同社のディレクター・陣内太一さんは、「在宅ワークで、ダイニングテーブルがワークスペースになっているという人は少なくありません。その声を聞き、仕事場とダイニングテーブルの機能をストレスなく、簡単に切り替えられる家具を考えました。WAAKtableの最大の特徴は、テーブルの幕板部分に引き出せる棚と、電源コンセントを設けている点です。PCや書類をすぐに収納できるため、仕事と食事の時間のモードチェンジがしやすく、また、電源のコードを脚部の中に組み込むなど、インテリアとしてのデザイン性にもこだわっています。多くの部材が無垢材で構成されているため、塗装し直して長く使える点や、弊社で下取りするといったアップサイクルな仕組みもつくり、サスティナビリティを意識したものづくりも特長です」と話す。

左から、高田製材所・高田豊彦さん、ELEGANT WOOD・石井馨一さん、前田建具製作所・前田英治さん、WAAK・陣内太一さん

会場には一日を通してデザイナーや建築家、メーカーの担当者が訪れた他、展示の終盤には、各出展者によるプレゼンタイムや懇親会が行われるなど、大川家具・建材の技術力や魅力が発信され、新しいプロジェクトや次のアイデアが生まれるような場が醸成されていた。(BAMBOO MEDIA)

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