moln

トラベルブランド「moln」のための内装計画。「moln」は、スウェーデン語で「雲」を意味する言葉に由来し、旅先でふと空を見上げた時に浮かぶ雲のように、場所・時間・空気によって変化しながら、地球上のどこでも柔らかに感じられる存在でありたいという想いが込められている。そして私たちはこのようなブランドコンセプトを受け、moln(=雲)の軽やかなプロダクトの受け皿には、軽さがありながらも大地のような強さがある対比的な空間が良いと考えた。空間の素材に用いたのは、表面の表情を荒らした淡い色合いの石材、グレー色のリノリウムやファブリックなど、落ち着いた色味の天然素材である。molnのプロダクトは自然をイメージしてアースカラーをベースに展開されており、これらの背景として相性が良い色味や素材を考えた。さらに床面の一部だけでなく壁面やディスプレイ台など大部分に石材を貼り込み、天井が低く半地下となっていた店舗の特性を利用して、適度な明るさのある洞窟のような空間とした。店内の機能は壁面沿いのディスプレイ台のほか、中央のベンチとプレゼンテーションカウンター、店舗奥のデスクのみで構成している。限られたスペースでありながらも余裕のある機能配置とし、ラウンジのようなゆったりとした空間を目指した。そして店舗片面には大判のミラーを設け、実際に歩きながらスーツケースを試用できるようになっている。世界的なコロナ禍により自由に旅へ出かけることが困難となったことをきっかけに、再び世界を旅する日への願いを込めて立ち上げられた「moln」。これからプロダクトと空間とが合わさって、ブランドの世界観や旅への新たな価値観が発信されていくことを期待している。(二俣公一/ケース・リアル

 

「moln」
所在地:東京都港区南青山6-6-20
オープン:2021年6月
設計:ケース・リアル 二俣公一 大仁田雄輝 橋詰亜季
施工:ディー・ブレーン
照明計画:モデュレックス
植栽計画:GREENETTA 高浦裕子
グラフィックデザイン:岡本健デザイン事務所 岡本 健
床面積:49.32㎡
Photo:志摩大輔

【内外装仕様データ】
床:石貼り(黄竜山石 割肌ビシャン仕上げ)防塵塗装クリア リノリウムシート貼り
壁:外装/既存外壁ウレタン塗装 内装/石貼り(黄竜山石 割肌ビシャン、荒ビシャン仕上げ)防塵塗装クリア PBt12.5下地AEP
天井:ケイカル板下地AEP 既存スラブ、梁の上AEP
家具・什器:デスク・ディスプレイ台天板/SUSプレートバイブレーション仕上げ ソファ/ウレタン下地ファブリック張り サイドテーブル天板・リノリウム貼り


二俣公一/ケース・リアル
空間・プロダクトデザイナー。1975年鹿児島生まれ。福岡と東京を拠点に空間設計を軸とするケース・リアル(CASE-REAL)とプロダクトデザインに特化する二俣スタジオ(KOICHI FUTATSUMATA STUDIO)の両主宰。国内外でインテリア・建築から家具・プロダクトに至るまで多岐に渡るデザインを手がける。近作にDDD HOTEL、イソップ新宿店、Chalet W、キウルベンチ(Artek)など。作品の一部はサンフランシスコ近代美術館の永久所蔵品に選出されているほか、その他受賞多数。2021年より神戸芸術工科大学客員教授。

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