重城病院

病院のイメージをポジティブなものへ変えるデザイン

既存の病院を運営しながら、駐車場部分に新病棟を建築するプロジェクト。1階の診察・検査・厨房、2階の入院・NS、3階の手術・医局と、搬入や縦横導線等から大きく階層分けをし、コアの効率化や構造を整理したことで、全体のカタチはある程度決まったが、これは言わば自然な建築のカタチである。
ところで我々が『病院』という単語を聞いた時に頭の中に描かれるイメージはネガティブなものが多い。我々の頭の中にスッと立ち上がる外観には、同じ大きさの窓が整然と並び、箱型で白に近い色が多く、〇〇病院という看板が目に入る。中に入っていくといかにもな受付、合皮のソファに座り付けっ放しのTVを見て過ごす待合い、緊張感のある色やつくりの診察室や検査諸室、快適とはかけ離れた病室などだ。それらのイメージやシーン、パーツ等を取り除くことで、既存の病院体験を想起させることを防ぐことを考えた。そして、我々が望んで欲する、豊かな自然の中に身を置くことや好きなホテルでの宿泊、アート鑑賞などのようなポジティブで豊かなイメージを想起させる環境に置き換えることで、病院体験を刷新することを狙った。病院像がポジティブなものに生まれ変わることで、病院の在り方やそこに臨む我々のマインドはもちろん、医療従事者のマインドや患者への接し方、さらには人が集まることで競争も生まれ、質や振る舞いの向上にも寄与するはずである。
千葉の木更津という場所から発信される新しい病院像は、このエリアを象徴する地層をデフォルメしたアイコニックな造形として表現され、高い技術力と志、柔軟な思考の院長とともに海外進出を目指していく。(家所亮二/家所亮二建築設計事務所

 

「重城病院」
所在地:千葉県木更津市万石341-1
オープン:2022年11月2日
設計:家所亮二建築設計事務所 家所亮二
床面積:約2700㎡
Photo:ナカサ&パートナーズ

【内外装仕様データ】
外壁:ケイカル板t6+セメントボードt12.5下地 造形モルタル+含浸塗装(コンクレタール/KEIM
床:パーティクルボードt20+コンパネt12下地シートフローリングt2.5貼り(NOVALIS)
壁・天井:PBt9.5下地AEP
その他:家具・什器/待合ソファ(AREA) 待合チェア(PAOLA LENTI) アート(向山 潔、桜井 旭、白川深紅、蓮尾佳由、Elena)


家所亮二/家所亮二建築設計事務所
1977年、横浜生まれ。2012年、HOUSE PLACE ARCHITECTURE association 設立。2014年、株式会社家所亮二建築設計事務所に改組。IDA DESIGN AWARDS 2016 GOLD、A’DESIGN AWARD 2017 GOLD、AMERICAN ARCHITECTURE PRIZE 2017 WINNER、BAMBOO AWARD 2017 GOLD、FRAME AWARDS 2018 WINNER、iF DESIGN AWARD 2018 WINNER。

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