HACHIBAN RAMEN

ブランドのシンボルと日本のラーメンを造形的に表現

「らーめん」という食材を空間にアレンジしたいと考え、表現方法として「見た目が楽しい」空間づくりに工夫をこらした。メインターゲットは、ベトナムのファミリーやヤング層に絞り込み、どのように表現すれば「日本のらーめん」を空間でイメージさせることができるかを自分に問いかけ、試行錯誤を繰り返しながら、今回のデザインが実現した。最初に「らーめん」という食材と、区画形状が半円である共通点から、柔らかく自由度のある曲線をデザインに取り入れたいと考えた。そして、特に遊び心を持った、思わず「パチッと!」と撮影したくなるような造形を意識している。柱巻きの造形には、「麺玉」をイメージした球体の造形を、2本の柱の床には「8」文字を描き、コーポレートのシンボルを表現した。また、日本では縁起物として馴染み深い大きな「達磨」を天井から吊り下げた。達磨のお腹には縁起の良い文字を描くのが一般的であるため、「8番らーめん」のLOGOをお腹に描き、更に達磨自体を発光させることで、圧倒的な存在感を放っている。茶色に塗装した天井には、曲線の木材パネルをランダムに吊り下げ、らーめんの具材として代表的な「メンマ」を表現し、「らーめんのスープに浮かぶメンマ」を連想させる。レンゲような形状のオブジェには、LEDの文字を施し、「蓮華でゆで卵を食べている」イメージを表している。この他、厨房上部の下がり壁にも曲線のラインを用いて、麺の柔らかさを表現。コーポレートカラーののグリーンと、その下に補色の赤いディスプレイ棚を設置し、コントラストによって目線を厨房側に引き付け、活気と清潔感のある厨房を見せる効果を狙っている。食材やブランドのイメージをもとにした様々な表現を落とし込むことで、「日本のらーめん」を楽しみながら食事をしてもらえる空間が生まれている。(前田 護/SEMBA VIETNAM

 

「HACHIBAN RAMEN(AEON MALL Tân Phú)」
所在地:30 Đ. Tân Thắng, Sơn Kỳ, Tân Phú, Thành phố Hồ Chí Minh, VIETNAM
オープン:2023年12月
設計:SEMBA VIETNAM 前田 護
床面積:200㎡
客席数:89席
Photo:Hiroyuki Oki

【内外装仕様データ】
床:タイル貼り
壁:タイル貼り 塗装仕上げ 竹細工
天井:塗装仕上げ ベニヤ染色
家具・什器:ラミネート仕上げ 特殊造作/ダルマ、レンゲ


前田 護/SEMBA VIETNAM
東京のアトリエ建築設計事務所を経てフリーランス。その後、2008年~2017年、上海船場建築装飾有限会社(中国) 。2017年からSEMBA VIETNAM(ベトナム) 。

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