PSIL

内装の“履歴”が積層し新たな仕上げへと昇華するような空間

名古屋市中心地に位置する美容室の計画。65㎡の中で閉塞感を出さずに、必要とされる視線制御を行うため、壁をレイヤー状に重ねた。天井まで達しない壁が、空間の一体性と、重なりの配置による虚の透明性や開放性を生む狙いである。カットスペースには一般的なスケールを超えるサイズの鏡を設置。正面に正対して座ると、鏡の境界線が視界から消え、面としての鏡は深さを持った空間として立ち現れる。施術を受ける際、客体である状態と、鏡の中に立ち現れる空間の中の客体を観測する主体としての2つの状態が重なり合う現象を生み出す仕組みとした。また、鏡の中央部分の扉を操作することで空間を変容させることができる。建築における敷地のコンテクストのように、テナントにおける過去の残置物や傷等を歴史要素のコンテクストとしてとらえ、内部空間の外郭部に以前の入居者が設けた仕上げや、壁の中に隠れていた過去の履歴が積層していくような具合で表現した。さらに、配管経路や塗装の塗り分け位置を丁寧に計画し、これらの履歴を仕上げに昇華させるデザインを試みた。(武田慎太良/武田慎太良デザイン事務所

 

「PSIL」
所在地:愛知県名古屋市
オープン:2024年1月
設計:武田慎太良デザイン事務所 武田慎太良+西田順風
床面積:65㎡
施術台数:2台
Photo:森田真悠

【内外装仕様データ】
床:既存コンクリート土間
壁・天井:既存コンクリート現し EP塗装
その他:什器/メラミン化粧板 鏡


武田慎太良/武田慎太良デザイン事務所
1984年、愛知県生まれ。名城大学建築学科卒業後、佐藤宏尚建築デザイン事務所、建築会社勤務。2019年、武田慎太良デザイン事務所設立。住宅、店舗デザインを中心に幅広いジャンルのデザインを手掛ける。

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