









土地の手仕事や産業を起点に人と町をつなぐ宿
「Bed and Craft OUKA」は、Bed and Craftが開業10年を迎える節目に生まれた、7棟目となる一棟貸しの宿である。これまでBed and Craftは、井波で活動する木彫家や漆芸家、作庭家など、土地に根ざした作家たちと協業しながら、一棟一職人の思想をもとに宿をつくってきた。OUKAではその視点をさらに広げ、井波を入り口に、北陸各地の工芸や手仕事へと触れていく滞在のかたちを構想した。
本計画のアートディレクション兼担当作家には、手工業デザイナーの大治将典氏を迎えた。大治氏は、日本各地の地域産業や手工業に寄り添いながら、器や家具、道具、ブランドづくりまで幅広く手がけてきた人物であり、北陸の工芸メーカーとも多く協業している。OUKAでは、工芸を単に鑑賞するのではなく、実際に手に取り、使い、日常の中で味わうことを大切にしている。
既存建物の玄関扉部分は、まちに開かれたプレゼンテーションスタジオとして再構成されている。ガラス越しに空間の気配が感じられる設えとし、エントランスには巨石を据えることで、工芸的な緊張感と余白を生み出した。正面の和室には、桜をモチーフにした真鍮の引き手など、繊細な手仕事が随所に施されている。
2階には、大門川沿いの桜並木を望む大きなリビングが広がる。キッチンを兼ねたロングカウンターには、大治氏が手がけた器や道具が並び、宿泊者は実際にそれらを使いながら滞在を楽しむことができる。さらに、現代的に解釈した縁側やテラス、足湯がゆるやかにつながり、工芸と暮らしが自然に溶け合う空間を形成している。
OUKAは、井波の木彫文化を軸としながらも、北陸各地に広がる手仕事や地域産業へと視野を広げる新たな拠点である。Bed and Craftが10年かけて培ってきた思想を受け継ぎながら、工芸と人、まちと旅人を結び直す、次の時代へ向けた挑戦となっている。(CORARE ARTISANS JAPAN)
「Bed and Craft OUKA」
所在地:富山県南砺市山見1124
オープン:2026年4月8日
設計者名:CORARE ARTISANS JAPAN 山川智嗣 山川さつき
アートディレクション:Oji & Design 大治将典
床面積:1階/71.3㎡、2階/88.4㎡
宿泊定員:6名
カメラマン名:nando 大木 賢
【内外装仕様データ】
床:畳敷き(大建工業) 磁気質タイル貼り(ミラタップ) 複合フローリング(ニッシンイクス) タイルカーペット(川島織物セルコン)
壁:特殊塗装仕上げ(ヤマトコ) セラミックタイル(平田タイル)
天井:特殊塗装仕上げ(ヤマトコ)
家具・什器:ダイニングテーブル、足湯用座布団(Indigo Furniture 工藤悠市) ダイニングチェア(TENON 関野央也) 座椅子(五十六製作所 六郎万康二) キッチン造作収納、造作洗面(キタダ家具 北田悠典) キッチン天板/人造大理石(アイカ工業) 造作傘立て(サボア 末松貴久)
その他:真鍮製品(FUTAGAMI 二上利博) 木のプロダクト「KITO」(四十沢木材工芸 四十沢宏治) 陶器(JICON 今村 肇) いちょうの木のまな板「雲」(Woodpecker 福井賢治) 木彫照明「cloud pendant」(IPPA 前川大地)

山川智嗣/CORARE ARTISANS JAPAN
コラレアルチザンジャパン 代表取締役。建築家。富山県生まれ。明治大学理工学部建築学科卒業。日本一の木彫刻のまち富山県南砺市井波にて「お抱え職人文化を再興する」をコンセプトに、ものづくり職人と新たな価値を創造するクリエイティブ集団・コラレアルチザンジャパンを運営。日本初の職人に弟子入りできる宿「Bed and Craft」(24年ミシュランキー「セレクテッド」に認定)をプロデュースするなどクリエイティブディレクターとしても活躍。24年Forbes Japan により世界を動かす45歳以下のカルチャープレナー(文化起業家)30組に選出。ジャパンツーリズムアワード観光庁長官賞、グッドデザイン賞(岩佐十良審査員特別賞)等、受賞歴多数。







