ヨシノ自動車 千葉支店

工場空間を“創造的な余白”により企業理念を示す文化的拠点へ昇華

 

本プロジェクトが目指したのは、工場特有のイメージの完全な排除だ。「無機質な箱」を木と曲線による美術館のような空間へと刷新し、アートファンや地域住民を引き寄せる文化的拠点を創出した。物流の未来予測が困難なこの時代だからこそ、本来交わるはずのなかった「予期せぬ、意図せぬ誰か」を迎え入れる「創造的な余白」が、業界に新たな風を吹き込む契機になると考えた。
大空間に島のように浮かぶいくつかのフロアは、吹き抜けを緩衝材として介在させ、各フロアのレベルを変えることで、お互いの視線の直接的な交錯を排除、音の上方への拡散特性を活かし、上層にいくほどプライバシーの深度が増していく、立体的なグラデーションを生み出している。物理的な壁で仕切る空間分断や、均一なデスクを並べただけの記号化された従来のフリーアドレスとは一線を画す、新しいワークプレイスのあり方を目指した。素材には海洋プラスチックや衣服の再生パネル、再生突板を採用。象徴となるカウンターには、通常は欠陥とされる「入り皮」を持つ丸太をそのまま活かした。近代工業が排除してきた不完全な素材の唯一無二の力強さを、デザインの力で普遍的な価値へ高め、真の持続可能性を成立させようと試みた。
将来的にはシェアオフィス形式でスタートアップを誘致し、異業種のテクノロジーを融合させることも見据えている。本来交わるはずのなかった「予期せぬ、意図せぬ誰か」を迎え入れる「創造的な余白」こそが、物流業界の未来のあり方を劇的に再定義する契機になると確信している。(家所亮二/家所亮二建築設計事務所

 

 

「ヨシノ自動車 千葉支店」
所在地:千葉県木更津市潮浜2-1-15
開設:2026年4月15日
設計:家所亮二建築設計事務所
床面積:2002㎡
Photo:Stirling Elmendorf

 

【内外装仕様データ】
〈オフィスエリア〉
床:コンクリート金鏝押さえ+防塵クリア塗装(艶消し)
壁:PBt12.5(一部t21)二重貼り下地AEP、壁画
天井:LGS組み塗装仕上げ、エアプランツ
家具・什器:受付カウンター/カヤ材(樹齢300年の入り皮材) カフェカウンター/杉材(寺院から譲り受けた樹齢300年を超える材) テーブル天板/海洋プラスチック、衣服の再生パネル、再生突板
〈整備エリア〉
床:コンクリート鏡面研磨仕上げ
壁:木毛セメント板t15の上AEP
天井:LGSランダム組み

 

家所亮二/家所亮二建築設計事務所
既存の価値観にとらわれない、新しい価値の創出を常に意識し、その業界やエリアに寄り添いながら、クライアントと未来を作っていくデザインを実践。その場所ならではの新しい体験を生み出している。CNN、FRAME、Dezeen、ArchDailyなど海外の主要デザインメディアに多数掲載。アワードの受賞歴は多数あり、iF DESIGN AWARD、red dot awardなどに加え、世界最高峰の空間デザイン賞「FRAME AWARDS」において、史上最多の3部門ノミネートを果たす。

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
   
お手掛けの物件や、新製品・イベントなどの情報は下記フォームよりご連絡ください。情報はこちら  

広告掲載について