SPOPEL

真珠の持つ美しさと柔らかい表情を貝殻の仕上げで表現

神戸・三宮センター街に位置する真珠専門店の移転に伴う設計プロジェクト。このブランドはベトナムのハロン湾に拠点を持ち、アコヤ真珠の養殖から販売までを一貫して手がけている。真珠が生まれる自然の循環を店舗で表現することを狙い、自然の副産物である真珠と自然との繋がりについて考えることから計画はスタートした。
豊かな森が豊かな海をつくること、そして、森の土壌から流れ出したミネラルや微生物、栄養分が川から海へと届き循環し、上質な貝が育まれることに着目し、1階の6メートルに渡るガラスカウンターでは、森と海と真珠の関係性を表現している。さらに、真珠を抜き取ったあとの貝殻の再利用にも取り組んだ。通常は、家畜の飼料や肥料に二次利用される貝殻をいかに空間に落とし込むか、検証を繰り返した結果、3つの手法で店内に取り入れることにした。まず、ファサードを構成する2階正面のガラスウィンドウには、貝そのものを貼り付け壁面アートとして高い意匠性を持たせている。これらの貝は私たち設計チームで貼り付け作業を行った。さらに、貝殻を2種類の荒さに粉砕し、荒砕きの貝はファサードと什器に左官材で練り込みテラゾー仕上げ、細かい粉末は店内壁面の左官に練り込み、質感に厚みを持たせている。真珠を包み込み、育てる貝殻を、壁面やカウンターにふんだんに取り込むことで、真珠の持つ柔らかさや優しさを表現した空間となった。(石丸耕平/BLURRY

 

「SPOPEL」
所在地:兵庫県神戸市中央区三宮町2-10-21-2 三宮センター街2丁目
オープン:2022年12月
設計:BLURRY 石丸耕平
床面積:1階30㎡ 2階30㎡
Photo:浅野 豪

【内外装仕様データ】
床:塩ビタイル貼り
壁:左官仕上げ(デステラ+アコヤ貝入り/梶原組) PB下地貝殻ランダム貼り(アコヤ貝、製作BLURRY)
天井:PB下地EP
その他:カウンター什器/木製下地左官仕上げ(デステラ+アコヤ貝入り/梶原組) 意匠照明(NEW LIGHT POTTERY) 木材(徳田銘木


石丸耕平/BLURRY
インテリアデザイナー。1982年大阪市生まれ。2008年〜2018年インフィクス勤務後独立。2020年に株式会社ブラーリー設立。現在は兵庫県を拠点に活動。飲食や物販、ウェディング、大型商業施設、住宅など幅広いジャンルのデザインを手がける。

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